ワケあり同士による華麗なる政略結婚
ぐったりと横たわるあいつの両手首に視線を向けると、真っ青に鬱血したような痕。
そして着衣が乱れたままの身体には、鎖のような無数の噛み跡と咲き乱れる赤い花びら。
そんな酷い光景から目を逸らすように、あいつに布団を肩まで掛けて静かに部屋を出た。
ふと、夕飯を作ろうと準備を仕掛かったキッチンとソファーの近くに画面の割れた携帯が目に入り一気に罪悪感に押し寄せてくる。
久しぶりに入る自室のベットに倒れこんで目を閉じると、あいつの怯えた表情が脳内に浮かぶ。
怒りで完全に我を失っていたとはいえ、乱暴に犯すような抱き方をしまった事を今更悔やんでも後の祭りだ。
あの嬉しそうな笑顔を見る事も、あいつに触れる事も二度と出来ないかもしれないと思うと恐怖で動けなくなった。
もっと早くあいつに伝えていれば良かったのか?
そうすれば、あいつもこの手だけを取ってくれたのだろうかと思わずにはいられない。
目を閉じても眠ることが出来ず、飲み物を飲もうとリビングへと向かうと来客を知らせるチャイムがなった。
時計を確認すると、日付が変わろうとしている時刻。