ワケあり同士による華麗なる政略結婚
それからあの日、籍を入れて2年が過ぎて両家の会社が置かれている現状を知った日。
初めて彼を見た。
写真で見るよりも更に綺麗な顔立ちをしていた彼は、眉間に皺を寄せとても不機嫌そうだった。
それから淡々と今後について話す彼は、自分たちの事とは思えないくらい関心のない表情をしていた。
それなのに発作が起きた私を介抱してくれた彼は、面倒くさそうな顔をするものの今まで異性の誰とも違った反応がとても胸を暖かくさせた。
新たな症状だと思い込んでいた苦しい程の胸の痛みや鼓動の高鳴りは〝恋〟だったのだと今なら分かる。
それから同居生活が始まって、彼の知らない一面を知ったり見たりする中で彼へ気持ちが変化していく。
呆れたような表情
焦った表情
少し照れた表情
目を細め微笑む表情
それから笑った横顔
まっすぐにこちらを見つめる真剣な眼差し
優しく触れる指先
キツく抱きしめられた温もり
彼と過ごした何気無い日常の全てが私の中で特別な思い出。
そんな思い出に浸っていると頬に冷たさを感じてようやく気づいた。
自分が泣いている事に。