ワケあり同士による華麗なる政略結婚
緊張しすぎて声が震えてしまったかもしれないが、必死に言葉を絞り出す。
「ずっと、、お礼が言いたかったんです。引っ越しの手配から家具に至るまで、本当にありがとうございました。なかなか時間が合わずにお礼が遅くなってしまってすみませんでした。それにっ、、先程もありがとうございます。スーツをダメにしてしまってすみませんでした。でも誠也さんのお陰で痛みも少なくて、、軟膏も使わせて頂きますっ、、!」
姿は見えないが、ガバッと頭を下げてもう一度叫んだ。
「本当にありがとうございましたっ、、!」
ずっと言えてなかった言葉を伝えられた事にホッとして、その場から立ち去ろうとすると少しだけドアが開いた。
『いや、こっちこそ悪かった。余計な事をしたな。、、症状を悪化させたか?』
私の為にとってくれた行動を後悔しているような言葉に、何故かとても悲しくなって咄嗟にドアの隙間に手を入れて彼の服を掴んだ。
「あ、謝らないで下さい!嬉しかったんです。軟膏と包帯、、とっても。」