ワケあり同士による華麗なる政略結婚
優しく触れていた彼の手が離れていく気配がして、慌てて軟膏と包帯を持っている反対の方の手を隙間に突っ込んだ。
「誠也さんが嫌じゃなればお願いしますっ、、、、!!」
ドアの隙間に両手を突っ込んでいる様は、なんとも間抜けで恥ずかしい格好だったが今はそんな事よりも優しい彼の手が離れていく方が嫌だった。
すると隙間から笑い声がして、突き出していた手から軟膏と包帯が無くなった。
『ドア越しだと症状は出ないんだな。ならこの状態で軟膏と包帯してやるから反対の手はしまっておけ。体制がキツイだろ?』
顔が見たかったし、その優しい手つきでどんな表情をしているのか本当は見たかったがさっきのような症状が出るのを恐れて片方の手を隙間から引き抜いた。
「はい、、お願いします。」