ワケあり同士による華麗なる政略結婚
その時は、もう本当にスーツが濡れようがどうでもよくて痕が残らないかだけが気が気じゃなかった。
全身ずぶ濡れで真っ赤になって震えるあいつの顔みて、ようやく我にかえったくらいだ。
よく考えてみれば、男性恐怖症のあいつにとっては行き過ぎた行為だった。
しかし動揺はするものの、火傷の痛みからか発作が起こることもなかった。
先にシャワーを使わせて、その間に秘書に火傷の軟膏と包帯を持って来させた。
何か言いたそうな顔はしていたが、そんな事を気にする余裕もなく追い返した。
そしてリビングに座り、アイツがやってくるのを待った。
しかし大分時間が経っても一向にリビングに現れないアイツにイライラして部屋まで向かった。