ワケあり同士による華麗なる政略結婚
これ以上この天然の世間知らずと2人きりでいると取り返しのつかない事になると、ドアから離れ突き放すように声を掛ける。
沈んだ声を出しながら帰っていくあいつに、やたら罪悪感を感じて溜息をつく。
、、言い方がキツかったか?
それとも襲っても良かったとでもいうのか?
帰宅してからあいつのことしか考えいない事に自分でも驚いている。
頭を切り替えようと持ち帰った資料を手に取ったが、それでもあいつの事が頭から離れずにベットに倒れ込んで目を閉じた。
結局、次の日になっても腕がどうなったのか気になったままでいつものように殺風景なリビングで新聞を読んでいても頭に浮かぶのはあいつの事ばかり。
新聞を読むのを諦めリビングにあるクローゼットを開け、そこに並んだシャツに袖を通す。
クリーニングではしないであろう柔軟剤の香りがふわっと鼻を擽り、その香りが控えめなあいつのようだと表情が緩んだ。