ワケあり同士による華麗なる政略結婚
『あ、あぁ。』
遠慮気味ではあるが、震えることなく真っ直ぐにこちらに視線を向けてくる事に驚きすぎてつい頷いてしまった。
するとまるで花が咲いたようにパッと明るくなり、嬉しそうな表情でコーヒーを持ってきた。
その姿に完全に心を奪われた。
茫然と立ち尽くしているとコーヒーの香りと共に目の前にコーヒーが置かれる。
「、、こちらで良かったですか?それとも飲みながら行かれますか?それなら耐熱性のある紙コップにしますがどちらになさいますか?」
『いや、、ここで飲んでいく。アンタは?』
「私は誠也さんの邪魔になりますので部屋に戻ります。カップはそのままにされておいて下さい。それでは、、。」
ペコっと頭を下げて、遠ざかっていこうとするアイツに咄嗟に手を伸ばした。