ワケあり同士による華麗なる政略結婚
「はい、ありがとうございます。、、コーヒー持ってきます。」
足早にその場を離れコーヒーの入ったマグカップを手に戻ってきた。
どこに座るか暫く考えた後に、端の椅子に腰をかけた。
少し遠くないか?
とも思ったが、声を掛けただけで肩が上がり怯えきっていたあの頃と比べれば大きな進歩だ。
新聞を広げコーヒーに口を付けた。
コーヒーには結構煩い方だと思うが、そこら辺のコーヒーショップのものよりも香りも立っていてそれでいてスッキリして飲みやすい。
『、、うまいな。』
思わず溢れた本音に視界の端で嬉しそうにしているアイツが目に入った。
そんな顔をされたら、こちらだけ意地を張るのも馬鹿らしくなってきて新聞を畳んだ。
『本当はアンタと話をしてみたかった。それと俺も礼を言いたかった。』