ワケあり同士による華麗なる政略結婚

急に眉を下げて小さく呟く。






『迷惑?なんのことだ。』

「出勤前から誠也さんの気分を害してしまっていないか、、と。只でさえこちらに住まわせて頂いて相当ストレスを感じてらっしゃる所に出過ぎたマネをしてしまって。本当は無理をされているのではないかと。」






数分前まで嬉しそうな顔を見せていたかと思えば、急に不安な顔を覗かせる。

そして悲しそうな表情を浮かべながら呟くあいつに無償にイライラした。





話をしてみたかったとハッキリ口にしても無理をしているかもしれないと受け取るほどネガティブで自分に自信がなさ過ぎるこいつと。

こいつの言動や表情に振り回されている自分に。







『無理してるのはアンタの方だろ?同居が決まるまで声を掛けただけであんなに怯えていたのにどういう心境の変化だ?それとも最初から男性恐怖症はフリか?そうだとしたら何が目的だ。』



思った以上に低い声が出て、あいつの肩がビクッと上がったのが分かった。

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