ワケあり同士による華麗なる政略結婚
怖がらせたいわけじゃなかった。
だがこれ以上ここにいれば、取り返しのつかない事を口にしそうな気がして立ち上がった。
『、、もう行く。』
あいつをその場に残して玄関に向かい、靴を履いていると背後にあいつの気配を感じた。
『、、なんだ。文句でも言いにきたか?』
振り返らずに声を出すと、弱々しい声がかえってきた。
「いいえ、、その、謝りたくて。折角、歩みよろうとしてくださったのに私は顔色を伺うばかりで嫌な思いをさせてしまいました。本当にすみませんでした、、。人の顔色を伺うのは昔から癖、、のようなものでよく家族にも叱られるんです。でも信じて下さいっ!決して誠也さんを騙して何か企んでいるわけではないんですっ、、!」
切なそうに声を上げるあいつに胸が痛んだ。