ワケあり同士による華麗なる政略結婚
『じゃあなんで急に症状が出なくなった?』
振り返って真っ直ぐ見つめれば目が合った瞬間、頬を赤く染めて目を晒した。
「、、正直、自分でも分からないんです。もしかしたら治ったのかもしれませんし、そうじゃないのかもしれません。誠也さん以外の男性は相変わらず避けて生活していますから。ただ、、その、、今まで異性の前では直ぐ発作がでてしまって気持ち悪がられていました。でも、あの日、、、誠也さんは発作を起こした私を見捨てずに抱きとめて下さいました。あの日から誠也さんに発作が起こることはなくなりました。緊張はしますけれども怖いとかそう言った感情はありません、、。」
『、、そんな事で治るか?』
「皆さんにとっては〝そんな事〟かもしれないですが私にとっては〝特別〟な出来事だったんです。それから異性に心配していただいたのも優しくいただいた誠也さんが初めてで、、嬉しかったんです。この感情を何というか分かりません。でも誠也さんは私にとって特別な存在なんです。」
包帯の手を握りしめ柔らかく微笑んだあいつを見て、さっきまでのイライラが嘘みたいに消えて気持ちが穏やかになったのが分かった。