ワケあり同士による華麗なる政略結婚
部屋を出て車に乗り込み会社に向かった。
誰かにこうして見送られたのは初めてで、正直戸惑ったが思っていたよりも悪くない。
寧ろあいつの声が心地よく耳に響いた。
会社に向かう車の中で気持ちを切り替え、まだ誰もいない受付を通り抜ける。
副社長室へと向かい、自室に着くなり仕事に取り掛かっているとノックが鳴った。
「、、副社長。もうご出勤されておいででしょうか?」
声の主は秘書である澤村だ。
『あぁ、入れ。』
「、、失礼致します。」
『どうした?こんな早い時間からスケジュールの変更か?』
顔を上げずに訊ねたが反応がない。