ワケあり同士による華麗なる政略結婚
、、良かった。
取り敢えず完食してもらえた事にホッとしながら食器を下げようと彼に近づいた。
『、、子供の頃はそれなりに憧れがあった。家に帰れば母親がいて、父親の帰宅を待って家族で食事をするという光景に。まぁ、、うちの母親は財閥の一人娘で箱入りだったから料理の仕方すら知らなかっただろうがな。』
突然、小さく呟いた彼。
『こういう感じなんだろうな?』
どこか遠い目をした彼が、不意にこちらをまっすぐと見つめながら目を細める。
『、、美味かった。また作ってくれ。』
「っ、、、!」
彼があまりにも優しい表情で笑うから、言葉に詰まってしまう。
『、、なんだ。一夜限りのサービスか?』