大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい

「惚気じゃないわよ。ほら、私、恋愛なんてご無沙汰だったから、彼との距離の取り方がわからないのよね」

「なんですか…その距離の取り方って?」

「一緒にいたいって思うのに、この歳でベタベタ甘えるのって難しいのよね。だから、ついね…物分かりのいい女になっちゃう」

「例えば?」

「デートの約束してても、向こうの都合でキャンセルとかなるじゃない⁈少しでも会いたいって思うのに、素直に言えなくて納得しちゃうのよ。一緒にいても、私から甘えるのって難しくて、いつも気を張ってる気がして、言いたいことも言えない」

「優希さんらしいというか…彼女なんだから素直に会いたいって言っていいと思いますよ。わがままいいじゃないですか!歳とか関係ないですって…」

「わがまま言って、嫌われたくないもの」

「嫌いにならないけど!」

優希さんの背後に立つ臣さんと奏。

やっぱりね…そんな予感したんだよ。

優希さんは、臣さんにちゃっかり誘導されてこのお店を選ばされたって気がついてないらしいけど


「えっ、臣くん⁈」

「偶然…俺たちもここいい?」

何が偶然だ…絶対、確信犯のくせに!

「あー、どーぞ、どーぞ」

ダメって言っても座るんでしょう⁈
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