大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい

「菜生ちゃんに言ってないよ。どこかのアホに言ってるだけだから…まぁ、菜生ちゃんにも選ぶ権利はあるよね」

なに言ってるんだ?さっぱりわからない。

「私は、当分彼氏なんていりません」

「まだ、吹っ切れてないのか?女々しい女」

やっと口を開いたかと思ったら、それ⁈

「女々しくて悪い?あんたみたいに、次々と取っ替え引っ替えするほど、私は軽くない」

「はぁっ?健の代わりに俺に抱かれてるくせに…」

怒りでバシッと奏の頬を叩いていた。

最初は、そうだった…健さんを忘れたくて、でも忘れられなくて代わりにして慰めてもらった。

でも…2度目辺りからは、

奏だから…
奏じゃなかったら…抱かれたりしない。

誰の代わりでもない…奏だからだよ。

とうとう、気がついちゃった。

抱きしめられると安心するのも

求められると許してしまうのも

俺様なくせに時たま甘えたで愛しいと思うのも

不機嫌さを隠さないで、わがままを言っても許してしまうのも、

奏が好きだからだ。

不器用な優しさで、側にいてくれた。

そんな彼に惹かれて、いつの間にか側にいるのが当たり前になって素直になれないでいたけど、こんな形で気がつかされるなんて…
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