大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
その週末の金曜、菜生と優希ちゃんが飲みに行くから付き合えと臣から言われて、ショックを受ける。
聞いてないぞ…
昨日も、その一昨日も、一緒に数時間を過ごしていたのに、聞かされていなかったから、臣から言われなければ、そのまま菜生の部屋の前で待ちぼうけを食うところだった。
菜生と俺の想いの違いに立ち直れないまま外に出ると、またあの女がいる。
今日は相手もしたくない。
臣もいたから、女を無視して菜生達のいる居酒屋に向かった先は、前に偶然会った店で、以前と変わらずの定位置に座っていた。
「偶然…俺たちもここいい?」
偶然を装う臣に席を勧めるくせに、俺の存在は無視してボーとしている。
やっと気がついたと思ったら、「なに?奏も座れば⁈」なんて言いやがる。
はあっ、なんだよ。
その前に言う事があるだろう?
別に、可愛い事を言うと期待してないが、『言い忘れてごめん』とかあるだろう!
あー、ムカつく。
目の前で、臣の思うままにいちゃつく2人にもイライラしていたら、最近の菜生のモテ話にすり替わり、馬鹿ップルは興味深々。