大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい

その週末の金曜、菜生と優希ちゃんが飲みに行くから付き合えと臣から言われて、ショックを受ける。

聞いてないぞ…

昨日も、その一昨日も、一緒に数時間を過ごしていたのに、聞かされていなかったから、臣から言われなければ、そのまま菜生の部屋の前で待ちぼうけを食うところだった。

菜生と俺の想いの違いに立ち直れないまま外に出ると、またあの女がいる。

今日は相手もしたくない。

臣もいたから、女を無視して菜生達のいる居酒屋に向かった先は、前に偶然会った店で、以前と変わらずの定位置に座っていた。

「偶然…俺たちもここいい?」

偶然を装う臣に席を勧めるくせに、俺の存在は無視してボーとしている。

やっと気がついたと思ったら、「なに?奏も座れば⁈」なんて言いやがる。

はあっ、なんだよ。
その前に言う事があるだろう?

別に、可愛い事を言うと期待してないが、『言い忘れてごめん』とかあるだろう!

あー、ムカつく。
目の前で、臣の思うままにいちゃつく2人にもイライラしていたら、最近の菜生のモテ話にすり替わり、馬鹿ップルは興味深々。
< 131 / 211 >

この作品をシェア

pagetop