大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
「健から連絡きた。今度の日曜に遊びに来ないかって言うけど、お前どう?」
遅いブランチを食べ終わり、足を開いた奏の足の間にすっぽり収まって座る私に、後ろからスマホを見えるように出してきた。
「うん…いいよ」
「本当に大丈夫か?」
私が健さんに片思いをしてた事を知っているから、仲の良い2人を見て傷つかないか心配してくれてるのだ。
「大丈夫…私には奏がいるもん」
「そうだ…俺がいる。勝手に傷つくなよ。辛かったら、連れ出してやるからな」
ぎゅっぎゅっと抱きしめてくる奏は、本当に変わった。
こんな事言う人じゃなかったのに…と思う反面、嬉しくもあり、頬が緩んだ。
「うん、ありがとう。その時はお願いします」
「…素直じゃん」
「…」
自分でも、素直に言えた事に驚いているのに、奏が更に口に出して頬を突いて言うから、気恥ずかしくなる。
「奏が、らしくないこと言うからだよ」
後ろから覗くように見ていた奏にプイッと、顔を背け頬を膨らませた。
素直になれたと思ったのに、揶揄われるとまだ素直になれない。
私の前に座った奏の困り顔がある。
「何怒ってるんだ…なぁ…」
「怒ってないし」
更に、プイッと顔を背けたら
「怒ってるだろ…頬を膨らませてリスみたいだぞ」