大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい

「するわけないじゃん…バカ」

キスしてほしいのに意地悪に待ち構えている奏に、自分からキスなんて恥ずかしくてできない私は、突き出している唇を手のひらで押さえたら、その手首を奏が掴んで唇から離してしまう。

私の目を見ながら、指一本一本、ゆっくりと啄むキスに、キスされた指はジンジンと甘く疼いていく。

もう、恥ずかしく見てられなくて、目を逸らすと、私のスマホに智奈美からメールが届いた。

『菜生、元気にしてる?私は、菜生に会いたくて会いたくて…菜生不足で元気ないです。会いたいよー!そこで、健と相談して今度の日曜に家に招待したいと思います。来てくれるよね?菜生の事だから、健に遠慮してるってわかってるけど、健から言い出した事だから、遠慮しないで来て欲しいです』

「智奈美ちゃんから?」

「うん」

『元気にしてるよ。連絡してきてくれてありがとう。なかなか連絡できなくてごめんね。私も智奈美に会いたいよ!今度の日曜、必ずお邪魔する。何時ごろなら大丈夫?』

打ち終わり送信した瞬間、スマホは奏に没収され遠くに滑らせた。

「ちょっと、まだ終わってないのに」

文句を言う私を、軽々と持ち上げ胡座をかいた奏を膝をついて股がされてしまう。
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