大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
「そんなの後で返信すればいい。今は、こっちに集中して」
私を抱きしめながら下から見上げてくる奏は、艶めく目を向けてくる。
「ななせ…あんなキスで物足りなくないのか?」
甘く掠れた声が、色っぽく誘惑する。
「ずるい…わかってるくせにそんな言い方しないでよ」
「俺は物足りない…だからもっとキスしようぜ」
素直になれない私からキスできるように、奏は誘う。
奏の肩に手を置いて、顔を下に向けるだけで奏からキスを仕掛けてくる。
触れるキスから、お互いに唇を食んで何度も何度も唇を重ねる。物足りなくにつれ、舌を突き出しお互い絡め取り擦り合わせ熱を孕んだ欲情的なキスにどれだけの時間、夢中になったかわからない。
急に脳内が沸騰した感じに、フワッと力が急に抜け、腰からストンと落ちグッタリと奏の肩にもたれかかって身体中で息を吸う。
「…まじ、キスだけで感じてイくなんてかわいすぎだろ」
呼吸が整うまで、私の背を撫ぜながら顔中にキスをする奏。
奏が、こんなに甘い男なんて知らなかった。
「あー、俺もう、お前の事離してやれないわ」
「…抱きしめて…る、じゃん」
息を整えながらの意味もない抗議。
「指輪、買いに行くぞ」
指輪って…嬉しいけど、やっぱり素直に喜べない残念な私。