大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい

隠しようがない跡に、奏はきっと気づくだろう!

もう、彼に相談するしかないかもしれないと、その写真をテーブルの上にばらまいて奏が来るまで静かにテーブルの上の写真を見ていた。

呼び鈴を鳴らしながら『俺だ」と叫ぶ奏に、慌ててドアを開けた。

「これ、なんだよ?」

ドアを見て、私の肩を掴む奏に安心したのか、やっと泣く事が出てきた。

「奏…怖くて怖くて…もう、やだ」

泣きじゃくる私を抱きしめる奏の温もりに、ホッとしたのかもしれない。

しばらくして落ち着いてきた私の肩を抱き、部屋の中に…

切り刻んだ写真に、私の顔にいくつもある穴の跡にア然とした奏。

「これ、なんだよ」

写真を一枚、一枚手に取り見た奏は私を見つめた。

「…今日だけって感じじゃないな。他にもあるのか?」

クローゼットの奥に隠した、くしゃくしゃの束を4つテーブルの上に置いたら、それを奏は開いていき驚いていた。

酷い言葉が何枚もあり、一枚の紙の上に細かな字で同じ内容がびっしりと書いてあるものもある。

心当たりがあるらしい奏は、開いた束を今度は自分でくしゃくしゃにした。

「クソ…あの女。菜生に手を出しているなんて…悪い…怖い思いさせたよな。もっと早く気がついてやれなくてごめん」
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