大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
肩を掴み、顔を見て来る奏に目を逸らしてしまう。
家族の事も、奏の事も、仕事の事も何もかも知らない。
友達だって、もしかしたら今までの関係のあった女だって知ってる内容なのに、私は好きっていう気持ちで一緒にいるだけで、何も知ろうとはしなかった。
「冷静に考えたい」
「こんなことで、お前を失うなんて耐えられるかよ」
腰を屈め、来るしそうに私の首もとに顔を埋める奏の手は、私の着ていた服に手をかける。
「ちょっと、イヤだ、何するの?」
「抵抗するのか?今まで…クソ、冷静になんてさせるかよ」
「んっ、…い、や…やぁ…あ、だ…んっっっ」
唇に強く押しつけられた奏の唇が、荒々しく唇を重ね強引に唇を開いて、こちらの意思を無視して痛いぐらいに舌を擦り合わせ、絡めてくる。
逃げようとする腰を両手で捕まえ、足の間に奏の膝が入った。
こんな強引な奏は初めてだ。
怒りながらされるキスに手加減てものはなく、私の性感帯を知る奏は、次々と官能を引き出して行く。
耳を食み、音を立てて羞恥心を煽りうなじに這う唇と指先、焦らすように服の上から弄る手のひらに抵抗する気力を奪ってしまう。
クタッと力が入らないのをいいことに、奏は、私を反転させ壁が正面に立った。