大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい

思わず、壁に手をついた私を背後から奏が挟んで来て、身動ぐ足の間から奏の膝がまた入ってきたが、今度はそれだけじゃなくスカートを捲られ膝の上に片方のお尻を乗せられ片足で立たされている。

「や、なにするの?」

顔だけで後ろを振り向くとキスで塞がれ、ブラウスのボタンを外した手が、露わになったデコルテを撫でブラの紐を肩から外し、胸を支えるものがなくなり一気に心許無くなったカップをずり下げた。

胸を手のひらで揉む動きに、声が出て体が揺れる。

「んっ…ぁっ」

「何も考えるな…今日は優しく抱いてやらないから、覚悟しろよ」

耳元でする怒りを孕んだ声なのに、嬉しいと思うのはどうしてだろう?

奏は、宣言通り優しくなかった。

壁に私を押し付け背後から身体を繋げ、崩れた床でも貪られ、お風呂場でも、浴槽の中で上気せるまで責め立てられ、気がついたら次の日のお昼になっている。

寝ていてもわかる下半身が別人のように動かない。

隣で、私を抱き枕にして寝ている奏は、今は涼しい顔をしているが、私をだき潰し続けた時の顔に鬼気迫るものを感じながら、切なく掠れた色っぽい声で何度も名前を呼ばれる度に、愛しさが増して抱きしめていた。



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