大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
次に目が覚めたら、隣には奏はいなくて外は真っ暗だった。
「うそでしょー」
何時間寝てたの?
しばらく寝不足気味だったせいと、昨日の奏のせいで寝すぎて頭が重く、こめかみの辺りを指で押していたら、寝室のドアが開いて奏が覗いた。
「起きたか?」
「起きたかじゃない。夜だよ…一日中寝て過ごすなんてありえない。明日、智奈美の家にお菓子でも買って持って行こうと思ってたのに、買い物に行けなかったじゃん」
「あぁ、それなら買ってあるから心配するな」
えっ…
「奏でも気がきくんだね」
「あっ、俺を何だと思ってる?仕事でも手土産は持って行くぞ」
そうなんだ…
へー
関心していたら、ベッド横に座って私の頭を撫でた。
「腹減ったろ?」
「…誰かのせいでめちゃくちゃお腹空いてる」
苦笑した奏は
「そりゃ、悪かった。でもそのおかげで嫌なこと考える暇なかっただろう?」
確かに、嫌がらせも、余計な事も考える暇なんてなかった。
「まさか、私の為に?」
「んっ?俺以外の余計な事考えてるお前に腹たっただけ」
だよね…
そんな事言ってた気がすると思い出してきた。
しょぼんと頭を下げたら、私の頭を抱え前髪の生え際にチュッとキスしてきた。