大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
週末という事で、席は埋まっている。
「また、別の日にしません?」
往生際が悪い私。
「大丈夫よ…予約してあるから」
手回しのいい事で…完全に聞き出す気で準備万端でいたらしい。
店員に案内されてテーブル席に着くなり、注文する優希さん。
「ビール2つに、枝豆、焼き鳥盛り合わせ、シーフードと野菜の温玉のせサラダ、げその唐揚げ、出し巻き玉子をお願い。菜生もそれでいいよね」
コクンと頷く。
さすがお気に入りのお店だけあって、メニューを見なくてもスラスラといい、店員がいなくなると聞く気満々でテーブルに肘をつき前のめりの姿勢を見せた。
「さて、お姉さんに教えてくれるかしら?」
ニコニコとしているけど、誤魔化そうとしたら今にも豹変するのだろう。
「飲まないと話せない内容なので、とりあえずは、ビールが来てからにしませんか?」
「いいわよ。時間はあるし、ゆっくりしましょう」
もう、飲んで勢いで話をするしかない。
「おまたせしました。ビールと枝豆です」
テーブルの上に到着したジョッキを乾杯もせずに半分ほど一気に飲んだ。
そして、ドンと机に置いて覚悟を決めた。
「優希さんも見た痕ですけど、想像通りのものです」