大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
「ほら、食べよう。で、続けで」
サラダを取り分ける優希さん。
「だからそれはですね…」
入り口をガラッと開けて入って来た人物に目が点になる。
うそでしょー
あちらも、私に気がついたようだ。
「ん?どうしたの?」
「なんでもないです。優希さんは串何を食べます?」
私は、知らないふりをした。
視線の角に見えるあいつは店員と話中。
そして…
「よう…菜生。ここいいか!」
「いいかじゃないでしょ。もう座ってるし…別の店に行ってよ」
「おっ、美味そう…俺らも混ぜてもらっていい?」
隣に座った奏は、私を無視して優希さんと交渉することにしたらしい
席の横に立つ男性は、奏の同僚なのか優希さんの返事を待って座るのを躊躇っている。
奏と違って常識人だ。
「優希さん、断っていいですよ。他行きなさいよ。あっちのテーブルの女子達なら喜んで混ぜてくれるから」
「優希ちゃんって言うんだ。俺、かなで!よろしくね。菜生の友達なら俺らももう友達だよな」
ニコニコとして、何かに気がついた優希さんがそこにいた。
「どうぞ」
立っている男性に、優希さんは席に座るように促した。
「ほら、臣(おみ)も座れよ」