大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
優希さんは、少し嬉しそうに
「もう、菜生ったら、酔ってるの⁈臣さんごめんなさい」
「大丈夫、かわいいよね、菜生ちゃんって!」
一瞬、優希さんから鋭く睨まれた気がした。
「…なぁ、奏もそう思うよな。俺はかわいいより美人な優希ちゃんがタイプだけどね」
おーい。今何気に優希さんを口説いてますか?
連んでるだけある…同じ人種だ。
素敵だと思ったのに、残念。
でも、優希さんはロックオンされて満更でもない。
へーと2人を交互に見ていた。
「かわいい?こいつが?」
私の肩を抱き、ジーと見てくる奏を視界に入れられない。
「んー、黙ってればかわいいかもな」
かわいいって、どの口が言う!
「思ってもないくせに」
「なんだ?…不満顔だな」
「いえ、ちっとも不満じゃない。お誉めいただいてありがとう」
棒読み感丸出しで返した。
「この手、いい加減離してよ」
肩の手を掴んで、振り落とした。
「いいね…そのツンぶり。タイプかも」
臣さん、勘弁して…
これ以上、話をややこしくしないでほしい。
空気呼んでよ。
「菜生は、普段こんなふうじゃないのに」
「えっ、そうなの?特定の人物の前だけなんだ」