大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
その中に、奏もいた。
そうか…同僚だもんね。
いてもおかしくないのに、いる奏を見てモヤっとなった。
8人用のテーブルに男女向かい合わせでそれそれ席に着き、まずはドリンクオーダー。
栗原さんと笹倉さんは、可愛らしく甘そうなカクテルで、残りのメンバーはビールを持ち乾杯。
飲む姿も女性らしい…さすが社内人気ナンバー1、ナンバー2。そして、彼女らは臣さんと奏にターゲットを決めたようだ。
他の2人もそこそこイケメンだと思うが、あの2人には敵わない。
やっぱり、そうなりますよね…
なんだか面白くないと思うのは、隣で澄ましている優希さんの内心を思ってだ…たぶん。
途中、優希さんが席を立って化粧室へ行くというので、ついていく。
「どうするんですか?臣さんとまともに会話してませんよ。いいんですか?」
「そうね…視界にも入れてくれないわ」
ポロっと一粒の涙が優希さんの頬を伝うと、止まらなくなったらしく、次々と頬を涙が流れていく。
臣さんめ…許さん。
「何が次、会ったら覚悟してろですか⁈優希さんの目の前で他の女と仲良くして…優希さんも気にしてないふりなんてしてないで、臣さんの前を陣取ればいいのに、何やってるんです。戻ったら、席替え提案して、臣さんの横に行くべきですよ」