大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
「えっ、いやですよ。菜生ちゃん…待っててくださいよ。先輩、どこ連れてくんですか?」
「連れションだ」
2人のじゃれ合いに部屋中に、笑いが響く。
「一人で行ってくださいよ」
「いいから、つきあえ」
なんだかんだと連れ出され、騒がしかった2人がいなくなり、隣の優希さんと話ししようと横を見たとき…ダウンライトされていても隣だからよく見えてしまった。
優希さんの膝の上にある手に重なっていた手は、優希さんに背を向けながら笹倉さんと話をしている臣さんの手だった。
優希さんは、顔を赤らめながらその手と攻防戦中。
私が見ている事に気がついた優希。
真っ赤になって、急に立ち上がり部屋を出て行ってしまった。
えっ…優希さん⁈
追いかけようとする私より先に、男性が動いた。
臣さんだ…
優希さんを追いかけようとしています?と目だけの会話ができてたと思う。
そうだというように、ポンと頭部を臣さんの手が撫でていく。
それなら、ちゃっちゃと行ってくださいと、ドアの先を顎で指したら、出て行った臣さん。
急に静かになってしまった部屋に、残されたのは4人だ。
女3人に、男1人…
まずい雰囲気に、残された男性の湯川さんが、美人2人にデザートをすすめるようにメニューを見せた。