大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい

豊富なメニューに、カロリーが…と言いながら夢中になって迷っている女性2人をもてなす湯川さん。

湯川さん、グッジョブです。

ポツンと1人になり、部屋の外が気になって仕方ない。

臣さんは追いかけたと思う…でも…

悩んだ末に、優希さんを探してみようとドアを開けると、ちょうど戻ってきた石黒さん。

「菜生ちゃんどこ行くの?」

「あっ、トイレ。石黒さん1人?」

連れションに連れ出した奏がいなかった。

「先輩はタバコ吸いに外です」

あーなるほど!今、どこも喫煙者には肩身が狭いらしい。

「そうなんだ…中、湯川さんが女性2人を相手にしているから、石黒さんも仲間に入ってあげて」

「…別にいいけど、俺、マジで菜生ちゃん狙ってるから、忘れないで戻ってきてよ」

苦笑いしてごまかし、優希さんを探した。

内庭のあるコンフォルト、そこにも席があり庭をライトアップされて綺麗だけど、肌寒いから誰もいない。

…その内庭の片隅に人影。

優希さんと臣さんだった。

内庭に出るドアを開けると、すぐそこが喫煙所だったらしい。

奏がいた事に驚き、声を上げそうになる口を奏の手が塞いだ。

そして、口元で人差し指を立て、シーと言う。
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