大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
「それで、堕ちたらポイなの…サイテー」
「でも、今回は違うみたいだけど」
「なんでそう言い切れるのよ」
「あいつら、もう寝てるんだろ!俺の知ってる臣なら、一度寝た女の頼みでコンパなんてしない。追いかけるなんてこともない…」
それって…少しは脈があるって事?
ほら…と、内庭の隅にいる2人を見るように促された。
『俺を試そうとするな…』
優希さんを抱きしめている臣さんがいた。
残念な事に優希さんの話し声が聞き取れない。
『俺の気持ちなら、ベッドの中で教えてやる』
うわぁ…聞いていて恥ずかしい。
隣の奏は、『へー」といい、ニヤついている。
うわ、わわわ…
2人の生々しいキスシーンに、思わず背を向けて熱い顔を手のひらで扇いだ。
「見ず知らずの奴ならなんとも思わないが、知り合いのキスシーンって、見てると煽られるよな」
そんな事を言ったかと思うと、扇いでいた手首をガシッと掴んだ奏に引き寄せられて、あっという間に唇を塞がれていた。
油断した…離してよと奏の肩を握った拳で何度も叩くが、私を攻落する術を知っている、こいつにかかったらもろいものだ。
気づけば、握った拳は奏の顔のラインを手のひらで添え、苦味のあるキスを堪能している。