大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
相変わらず、女の扱いに手慣れているな…なんて思っていたら唇が離れた。
そこに臣さんと優希さんが立っていたからだ。
「見せつけてくれるな」
臣さんの揶揄いに、おかまいなしで
「続きは、また後で」
名残惜しいように、甘く耳元で囁く奏。
なんなの…身体を重ねてから会う度に甘くなるのは、気のせい?
「お互いさまだ。俺たちがここにいるの気がついてて、そっちこそ見せつけたんだろ」
ニヤッと口元に笑みを作る臣さんに、えっとなったのは、気がついていなかった優希さんで、顔を真っ赤にしていた。
「そろそろ戻るか」
男達は、なんとも思わないらしく、ご機嫌な様子で店内に入って行く。
残された女2人は、気まずい。
「えっと、私…ほとんど聞こえてませんからね。キスも、直ぐに見ないようにあっちの方を見てましたから、…うん、大丈夫ですよ」
何が大丈夫なのかわからないが、とりあえず言ってしまう。
「見られてたのは恥ずかしいけど、私も、菜生と奏さんの見ちゃったし、ね…知り合いのキスシーンって見ちゃったら恥ずかしいね」
「ですね…でも、男2人は平気そうでしたね」
「慣れてる…んだよね、きっと」
「ですよね…」
お互い、気まずい雰囲気のまま、苦笑いした。