大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい

少し時間をずらして戻ると、そろそろお開きの時間になるというので、解散するか、次のお店に行くかで話し中だった。

「俺と奏は、用事できたし帰るわ。湯川と石黒と楽しんで来てよ」

「えー、臣さんも奏さんも帰っちゃうんですか?それなら、私達も途中まで一緒に帰りましょうよ」

笹倉さんと栗原さんが、引き下がらない。

そうなるよね…

「優希ちゃん達はどうするの?」

優希さんを『ちゃん』づけして、今日の冷たい態度なんてなかったかのように、わざとらしくこちらに話を振って来た臣さん。

「私は…」

「私達、飲みたりので次のお店行こうかな。ねぇ、優希さん」

臣さんを少し懲らしめようと、咄嗟に出た言葉だった。

「そ、そうね」

はあっ…って顔をしたのは言うまでない、臣さんと奏だ。

「なら俺も!菜生ちゃんともっと一緒にいたい」

手を上げ、側に近寄ってくる石黒さん。

犬に懐かれたみたいで、笑ってしまう。

「湯川さんはどうします?」

みんなの視線を受けた湯川さんは、腕時計を見た。

「付き合いますよ」

「それじゃ、俺達4人は次の店に行くんで、気をつけて帰ってください。笹倉さんと栗原さんは、送りオオカミに気をつけてくださいね」
< 77 / 211 >

この作品をシェア

pagetop