大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
少し時間をずらして戻ると、そろそろお開きの時間になるというので、解散するか、次のお店に行くかで話し中だった。
「俺と奏は、用事できたし帰るわ。湯川と石黒と楽しんで来てよ」
「えー、臣さんも奏さんも帰っちゃうんですか?それなら、私達も途中まで一緒に帰りましょうよ」
笹倉さんと栗原さんが、引き下がらない。
そうなるよね…
「優希ちゃん達はどうするの?」
優希さんを『ちゃん』づけして、今日の冷たい態度なんてなかったかのように、わざとらしくこちらに話を振って来た臣さん。
「私は…」
「私達、飲みたりので次のお店行こうかな。ねぇ、優希さん」
臣さんを少し懲らしめようと、咄嗟に出た言葉だった。
「そ、そうね」
はあっ…って顔をしたのは言うまでない、臣さんと奏だ。
「なら俺も!菜生ちゃんともっと一緒にいたい」
手を上げ、側に近寄ってくる石黒さん。
犬に懐かれたみたいで、笑ってしまう。
「湯川さんはどうします?」
みんなの視線を受けた湯川さんは、腕時計を見た。
「付き合いますよ」
「それじゃ、俺達4人は次の店に行くんで、気をつけて帰ってください。笹倉さんと栗原さんは、送りオオカミに気をつけてくださいね」