大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
顔を赤くして男2人に視線を送り、期待している様子の笹倉さんと栗原さん、無性にムカつく。
石黒さんのいらない一言で、優希さんが動揺しているからだ…
あんなに強気でいた優希さんも、なんだかんだと言っていても、恋する女性なんだと可愛く見え、後押しせずにはいられない。
「優希さん、気分悪そうですね⁈やっぱり帰ります?」
「それなら、俺は優希ちゃんを送って行くから…じゃあ、おやすみ」
数メートル先にいた男が、優希さんの手を繋いで清々しく退場して行った。
優希さんも突然の事であたふたとしながら、おやすみなさいと手を振るのがいっぱいいっぱいだった様子。
「臣さんって…優希さん狙いだったんですか?」
笹倉さんの冷めた声。
「やっぱり、私も飲みに行きます」
狙っていた男は、実は違う女を見てたなんて面白くないですよ…そうなりますよね。
そうなると、奏と栗原さんだ。
まぁ、2人がどうなろと私はどうでもいいけど…
「次は、どこのお店行こうか?」
コンフォルトを出て、4人で立ち話し中。
「栗原さん、送って行くよ」
奏が栗原さんを促し、帰って行く後ろ姿にチクンと胸が痛く感じた。
ばーか…