大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい

思わず口ずさんだ言葉は、奏になのか、自分になのか?

2人の曖昧な関係に、イライラする。

奏となんて、寝なきゃよかった…

「なに?菜生ちゃん?」

首を傾げ、こちらの様子を見ている石黒さん。

あっ、今は次のお店に来ていたんだった。

「ううん、なんでもない」

「そう?ならいいんだけど…俺ばかり話してるからさ…楽しくないからかと‥思った」

なんだ、ちゃんと聞こえているじゃん。

「楽しいよ」

何を話ししていたかなんて聞いてなかったけど、受付にいるからか、私は笑顔を作るのはお手の物だった。

石黒さんオススメのカクテルを飲んでいても、今頃‥奏は栗原さんといると考えたら落ち着かない。

頭の隅にちらつくのは、自分を抱いた時に見せる奏の艶めく表情で、モヤモヤして一気に飲むペースが速くなる。

もう、なんなの…考えたくない。

左隣の2人を見れば、笹倉さんは結構出来上がっているのか湯川さんに絡んでいる。

嫌な顔もしないで、聞いてあげてる湯川さん。

いい雰囲気だ…

で、私の右の石黒さん…私に運命的な出会いを感じてるんだっけ?

私…かなり酔ってるのかな?

今、サイテーな事考えてるよ。

でも…奏の事も、健さんの事も何も考えたくない。
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