【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
それこそ、数代前。
後宮の奥深まったところにある神殿を中心として、起こった火災。
信心深かった時の皇帝はそこに独り寝の冬宵殿を構えており、そこからそう距離のない場所に、その時の皇帝が深く寵愛した寵姫が住んでいた。
その火災で寵姫を喪った皇帝は嘆き悲しみ、自刃。
火災を起こした原因は、寵姫を事故に見せかけて殺そうとした、一人の妃嬪の妬みからだった。
火災を起こした妃嬪の家は族滅され、二度と、このような悲劇が起こらぬように、現在の位置に建て直させたのは、その皇帝のあとを襲った彩陽帝(サイヨウテイ)。
どういう経緯かは知らないが、昔、皇帝の独り寝のための宮殿を中心に四方にあった春夏秋冬の宵殿は、いつしか冬宵殿が皇帝の独り寝のための宮殿とされ、他の春夏秋は後宮の奥で在している。
そして、先帝の時代に大いに増えた後宮の宮殿の数は黎祥が罰しなかった先々帝や先帝の妃が住む宮殿として機能しているが……傷ついたこの国に、後宮の出費は本当に大きく、かなり痛い。
余計なものを残してくれたもんだと、兄上に置いては恨みしかない。
懸命に考えて今の形に収まったというのに……本当、後宮を廃止したい。
微笑ましい弟達の会話を眺めながら、黎祥は頭を抱えて。
……黎祥は革命を起こした際、先々帝の妃、また、先帝の妃は数名処刑、一族郎党抹殺したものの、害になりそうにない者達は解放、または、後宮に留まらせた。
その際、困るのが、黎祥の妃と呼ばれるもの達の身の置き場である。