【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―



「そうだ。鏡佳姉上……」


机に肘をつき、目の前で手を組んで、それに額を押し当て、ため息。


「忘れてた……」


「忘れていましたね」


「?、何の話ですか?」


鏡佳の、婚礼話。


「…………もう一度、行ってみるか」


幸か不幸か、この後の予定には余裕がある。


「にしても、宮にいるかどうか……」


「皇太后様もお呼びにならなくてはですね」


「ああ」


なるべく、歩かせたくないのだが。


健康志向である彼女は歩くなら、とことん歩くだろう。


それを防ぐためには……。


「陛下、?」


「静苑、その……呼び出したのは、本当だ。だが、仕事に支障はない。呼び出したのは、婚礼を勧めようと思ってな」


「婚礼、ですか?」


「ああ。もらって欲しい女人がいるんだ。だから、お前にはその部下を呼んできて欲しい」


「御意。どちらに連れて参りましょう」


「ここへ。頼んだぞ」


小さく頷いた静苑は、直ぐに部屋を飛び出していく。


「あいつにも、良い相手いないかな……」


黎祥がそう呟くと、


「えっ、栄将軍ですか」


と、何故か、嵐雪は驚いたような声を上げた。


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