【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「―陛下、俺が行きます」
その騒がしい場を眺めていると、後ろから声が。
「鏡佳皇女の声で、内楽堂の皆様が外に出てきている……明らかに、迷惑行為ですから」
おどおどしていた彼は、どこへやら。
ばっさりと宣った彼に頷いて許可を出すと、
「ありがとうございます」
彼は微笑んで。
なるほど。
好きな女に、遠慮はいらないのか。
相手は、皇女というのに。
そんな強かな一面も持っていたらしい彼に、黎祥もついて行く。
「鏡佳様」
「嫌だァァァ〜っ」
「あの……こっちを見てください?」
「煩いなぁ!陛下が決めた婚約者だかなんだか知らないけど、何で、男が後宮に―……」
彩姫姉上に抱きついて喚いていた鏡佳姉上は、自分に声をかけていた練子龍を視界に入れた瞬間、目を丸くして。
「…………子龍?」
呆然と、その名を口にした。
「はい。お久しぶりです、鏡佳様」
鏡佳姉上に名前を呼ばれた彼は、破顔して。
「っ、なんで、ここに―……」
「陛下からの御下命で。この間の遠征の報酬として、貴女を頂けるそうです」
「………………え?」
鏡佳姉上は彩姫姉上から離れると、黎祥を見て。
驚いている彼女に、子龍は簡略化した事の顛末を話した。
「知っていたの……?」
全てを聞き終えた後、驚いたように問われたので。
「?、何のことでしょうか?」
と、わざと惚けてみせる。