【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
(この人、相変わらず、容赦ない……)
嘆く鏡佳姉上をあやしながら、麗宝姉上は黎祥に目を向けてきた。
まるで、全て、"分かっている”と言っているように。
麗宝姉上は知的な方だが、自らの保身のために滅多に口を開くことは無い。
ただ、開いたら……優秀な嵐雪でさえ、言葉を詰まらせるほどのことを論ずる。
彼女が男だったのなら、間違いなく、彼女が皇位を継ぐことになっただろうし、国も荒れなかったと思う。
しかし、この言葉は彼女にとって、親に愛されなかったという証のようなものだ。
双子として共に生まれた第三皇子が死んでからもいうもの、母親から折檻を受け続け、苦しんだそうだから。
皇子の代わりにお前が死ねばよかったのに、とか、実の産み親から聞くには苦痛すぎる。
その幼少期のせいで、彼女が冷静で聡明な女人もなってしまったと言っても過言ではない。
「ねぇ、結婚したくない!」
麗宝姉上相手では埒が明かないと思ったのか、今度は彩姫姉上に泣きつく鏡佳姉上。
彩姫姉上は戸惑いながらも慰めて、笑っている。