【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―



「後宮には狐が沢山おって困るの。―今も、昔も」


「その狐こそが、毒の事件の黒幕ですよ」


大体の目星がついてきた。


毒の事件のあらましも、狙いも、犯人も。


誰が何を狙っているかも、


全部、全部―……。


「犯人は、複数ですね」


「各々が各々の目的のために動いておる。だからこそ、倒れたものの関連性が付けられなかった」


「けれど、大きな何かがいるのは確かだ」


それもこの、後宮に。


「まぁ、焦らずとも、近々、味方が現るる予定じゃ。そなたはこれまで通り、きちんと政務をこなせ。そして、後宮に通え。妾が願う、妃を寵愛するだけで良い」


「……栄貴妃のことは寵愛してますよ?表向きですが」


「そうじゃなくて、ちゃんとした夜伽をさせるのじゃ」


「そんなことをしたら、家同士の均衡が取れなくなるではありませんか」


いきなり、何を言っている?


絶対忠誠の楚家はともかく、妃の人柄がどうであれど、家がどう考えているかは別物。


寵愛を過度に与えれば、何かを企むのは承知で……。


「李家はそなたを裏切らぬ」


「……」


「練子龍の家、練家もそうじゃが……先々帝の死より、退いた趙家、練家は皇帝の腹心的家じゃった。李家や楚家も同じじゃ。利用できるものは利用して、国を平定しなければ」


先帝の御代で荒れた、この国を。


もっともっと、栄えさせるために。



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