【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「『忘れないで、幸せになって』って。……どうしてっ、どうしてっ?家族を愛し、民を思っていた善敬様の御両親が死ななければならなかったの?どうして、裁かれたのが私の父じゃないの?どうして、栄家でなかったの?」
どうして、どうして、どうして!!
立ち上がって、感情のままに叫ぶ。
「忘れられるわけないじゃないっ!!あれが、最期の言葉だったなんて、信じられるわけ……っ!」
『さようなら、またいつか』
解けた。
あの最後の瞬間は、刹那のようで。
ゆるりと解けた指先を握りしめて、
消えていく体温を忘れられなくて。
あれを、淡い初恋だったと知るのは、
後宮で、慧秀と出会ってからだった。
座り込んで、両手で顔を覆う。
「『生きたいな、雪麗と』って……あの人は……言ってくれたのよ……」
守りたい約束だった。
儚い、約束だった。
「……もう、眠りたいわ」
「……」
どうせなら、あの人の隣で。
「慧秀は、巻き込まない。私、一人で行くから。だから……」
「……兄を、本気で愛していなかったのですか?」
一言、投げかけられた重い言葉。
慧秀の顔が、浮かぶ。
想像するだけで、声が震える。