【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「そんな友人は、殺されたわ。父に陥れられて、朱家は謀反を企んでいるとか、色んな噂をつけられて……っっ」
思い出すだけでも、腹ただしい。
憎悪が、溢れ出す。
「どうしてっ?どうして、あの人が殺されなければならなかったの?私が、あの人と仲良くしていたからっ?後宮入りが決まったあとも、あの人と会っていたから?だから、朱家の皆は不幸になってしまったの?小さな子も沢山いたっ!子を宿した、人もいた!多くの命、多くの血を、あの人は人を使って奪ったの……っ!!」
―ああ、どうして。
今なら、思う。
きっと、自分は善敬様を愛していたのだと。
陽の光に当たり、笑うあの方を。
籠の鳥としてでしか、生きる術のなかった雪麗にとって、善敬様こそが希望だったのだと。
「……朱家の当主は愛妻家でね?子供達を大切にしていらっしゃったわ。そんな両親に恵まれて、善敬様が弟妹を可愛がっているのを見るのが、話を聞くのが好きだったの。幸せな話を聞くのが……っ、凄くっ、」
「……愛されていたんですね」
「最期の日、ボロボロな顔で彼は笑ったわ。今でも、耳の奥であの日の言葉が響いてる。いつも笑ってて、どんなに辛くても、笑っているんだと言った、善敬様がよ?泣いてたの」
雪麗は涙を流した。
ずっと、心の奥底に隠していた言葉を口にするのはしんどかった。