【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「―ここにおったか」
また、背後からの声。
振り返ると、そこに立っていたのは、また童子。
「飛燕、飛雪、飛龍に、白亜まで。どうしたの?」
「どうしたの、ではない。あそこから消えるのなら、早く言わぬか」
そのものは確か、確か―……。
考えようとすると、ズキン、と、痛む頭。
「……無理して、考えちゃダメだよ」
「……」
「人の子は、僕らが見えてはいけない」
「飛雪」
「いいじゃない、飛龍」
そこで初めて、
「―わぁ!?なんか増えた!」
侍女の驚く声がした。
目を向けると、まるで、今まで"見えていなかった”ように驚く。
「おい、黎祥、これは一体―……」
そういえば、傍には蒼月もいたのに。
(一体、何が起こっている……?)
「君が、僕の元に来た記憶は消されているんだね。―そうか。君はまだ、"何も知らない”人間だものね」
会ったことがあるような、ないような人達。
そして、まるで、時が止められていたかのように、無反応だった蒼月たちは……。
「―なあに?何か、騒がしいわね?」
ズキズキと痛む頭を抱えていると、扉から顔を現した翠蓮。
「あら、陛下!?」
黎祥を見つけ、驚いた翠蓮。
「わー、翠蓮だ!」
そこに集まった人達は、翠蓮の姿に喜ぶ。
でも、そんな者達の間を通り越して、翠蓮は黎祥の前に来ると。
「具合が悪いのですか?侍医を呼びましょうか?」
と、黎祥の身を案じた。