【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―
「久しぶり!我が、息子!!」
―元気な、方だ。
飛燕は抱きついてきた、母である白麗の小さな体を抱きしめて、
「母上……」
と、静かに涙を流す。
「申し訳ありませぬ。儂の……私の、せいで……」
「フフッ、泣き虫になったわね」
きつく眉を引き絞った飛燕に手を伸ばして、笑う白麗。
「気にしなくていいのよ。子供を守るのは、親の役目だもの。あなたはこの千年、楽しかった?」
「…………楽しい事ばかりでは、ありませんでした」
少しだけ躊躇って、口を開く飛燕。
「まぁ、そうでしょうね。この世では……楽しいことだけで出来てないし。出来ていたら、私はここにいないもの」
「母上……」
「永久の命を手に入れたことを、後悔したことは何度もあるけれど、あなたみたいな可愛い息子とイケメンな旦那に恵まれるのなら、悪い人生ではないわ〜」
ニコニコ笑う、可愛らしい人。
千年前のあの時、飛燕を庇って、一度、死んだ人。
「私の世界では、平成では味わえなかった人生よ。神様と結婚することになるなんて。フフッ、満足満足♪」
楽観的とは言わないけど、楽しく明るい人。