【完】李寵妃恋譚―この世界、君と共に―



両親に入れられた、革命軍の長・新皇帝の後宮。


新皇帝のことは憎くはなかった。


だって、姉を暴君から解放してくれたんだもの。


例え、それを姉が望んでいなかったとしても、私はとても嬉しかった。


暴君がいなくなれば、姉は帰ってきてくれると信じていたからだ。


あの日のように、また、2人で幸せに暮らせると信じていたからだ。


でも、姉は帰ってこなかった。


姉は新皇帝に殺されるわけでもなく、自らの意思で死を選んで、消えていった。


そんな馬鹿みたいな、愚かな人。


「―どうして、こんなことをした」


尋ねられて、私は首をかしげた。


「どうして、と、問われると―……とても、長くなりますが」


「私は……何かの犠牲をなしに、国を治めることは不可能だということはわかっているつもりだ。それで、そなたの姉が巻き込まれたというのなら……謝罪する」


「……」


新皇帝は、とても人が良い人だ。


謝られるけど、そんなことは必要ないわけで。


「……謝られる、意図がわかりません」


「分からないものか。―そなたは罪を犯しすぎた」


「犯したんじゃありません。契機をあげただけですわ、陛下。それを独自に判断して、消えていったのは彼らの方でしょう?それに……私はお姉様を守ろうとしただけ」


「……そんなことをされて、翠蓮が喜ぶとでも?」


「……」


―うるさいなぁ。


椅子から勢いよく立ち上がって、椅子を蹴り飛ばす。


大きな音が響いて、それに驚く節もない新皇帝は、


「翠蓮は喜ばんぞ」


そう、一言述べた。


「うる、さい……」


「話を聞け」


「うるさい」


「……」


「うるさいっ!うるさい、うるさい!!」


もう、うんざりだ。


この後宮に巣食った、悪ですら。


それが、私からお姉様を奪った!!



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