その悪魔、制御不能につき



嫌な想像に顔をしかめればペラペラと得意げにこれから私がどうなるか言う女に腹が立つ。恐怖がないのかと聞かれれば勿論ある。でもそれよりも湧いて出るのは不快感と怒り。


わかってはいたけどルックスやら金やら後その他諸々に惹かれた人間っていうのはこういうものなんだろうか。無駄に自分に自信があって自分以外の人間のことは考えないし考えようともしない。浅ましくて愚かしい。


周りの人は貴女を飾り立てるための脇役じゃない。ちゃんと感情のある生きてる人間だって子どもでもわかるようなことを理解しようとしない。私が一番嫌いな人種だ。


社長や都築さんも自分の内側に入れたもの以外はどうでもいいと思っている人たちだけど、あの人たちは私たちが感情のある人間であることを知っているし最低限尊重してくれている。


だからこそ、私は社長と付き合うことにした。一緒に時間を重ねて、簡単に人を内側には入れないけど人を理不尽に蔑ろにしないところを好ましく思った。


そしてそんなあの人にとって、よくわからないうちにではあるけど私が一番近しいところにいてもいいということが嬉しいと感じた。ただただ内側に入れたことだけじゃなくて、隣にいて欲しいと態度と言葉で示されたことが嬉しかった。


こういう状況で改めて考えてみれば私って自覚していたよりも社長のことを気に入っているみたい。私だって人の平均としては冷めた部類だと思うし、そんな私がこうまで他人に対する怒りを持てるのだから相当だろう。



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