その悪魔、制御不能につき



不敵な笑みを浮かべてそう言えば頰に痛みと熱さが走る。ぶたれたのだと一瞬でわかったけど言ったことに対して後悔はないし嘘もない。



「うるさい!この売女が!!あなたなんてどうせその体で鷹斗さんを誑かしたんでしょう!?この男たちに穢された体なんて見向きもされなくなるわよっ、ざまぁみなさい!」


「あら、じゃあ貴女は体にすら興味を持たれなかったってことね。おかわいそうに」



もはや何を言っているかわからないヒステリックな悲鳴と一緒に逆側にも一発くらった。この女、腕の拘束外れたら覚えてなさいよ。


叩かれたせいでくらくらする頭に顔をしかめながら睨みつける。傲慢で醜い笑みを浮かべた女が男たちに指示をする様子が見える。あぁ、ここまでかしらね。


いやらしい笑みと無数の無遠慮な手が伸ばされる。私はそれをただ冷静に見据えた。


諦めはあるけど絶望はない。嫌悪はあるけど恐怖はない。



「その強気な態度がいつまで続くか見ものだわ!!」



女の顔が嗜虐的に歪んで乱暴に床に引き倒された瞬間、



「輝夜から離れろ」



ほら、やっぱりきたーーーー


自然と私の顔に笑みが浮かぶ。できればあと数分早く来て欲しかったけどそれは望みすぎというものだろう。最悪の状況には至らなかったから上々だわ。


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