その悪魔、制御不能につき



彼女への私の不快感に気づいた社長がやっと彼女の方を見た。それに喜色満面とも言える笑顔を浮かべた女性に思わず笑ってしまう。頭の中がお花畑にも程があるわね。



「消えろ。目障りだ」



その声は冷徹で冷酷。一切の慈悲もない断罪を告げる声。無価値なものを見るような目はどこまでも無機質で何より冷たい。社長の持つ絶対的な支配者の風格が更に恐怖を煽る。


さすがにそれには気づいたのだろう、顔を真っ青にする彼女。それでもやっぱり鈍感というか命知らずというか、私からしたら死にたいのかと聞きたくなるぐらいしつこく言い寄ろうとしたのはもはや尊敬に値する。


しかしそんな彼女の熱情も社長からしてみれば有象無象が言っている塵にも等しい言葉…いや、塵よりも酷いな。害虫を駆除するかのごとく鬱陶しかったらしい。苛立たしげに舌打ちをする社長を初めて見たわ。



「おい、湊」


「はいはい、人使いが荒いですねぇ」



いつの間にそこにいたのか。いつもと変わらない美麗な笑顔を浮かべている都築さんだけど、なんとなくいつもと違うような…気のせいかしら。



「斉木さん、今回は巻き込んでしまい申し訳ありません」


「いいえ、まぁ聞きたいことはありますけど社長と付き合ってればこういう時もあるかもしれないことは予想はついてましたから」



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