その悪魔、制御不能につき



ただでさえルックスもステータスも極上の男だもの。なんらかの障害があったり婚約者が出てきたりというのはテンプレというものだ。まぁ?私の知らないところで私が婚約者になってたらしいというのは知らなかったけどね?


後で詳しいことはきっちり話してもらいますよ?と強気な笑顔で都築さんを睨めば美麗な笑顔を返された。普通の女性はだまくらかせても私は誤魔化されないわよ。



「湊さん…!湊さんならあたしのこと信じてくれるわよね?!だってあたしのこと、」


「黙りなさい。その口で私の名前を呼ぶなど不愉快にも程がありますよ?」



都築さんを見て輝いた顔が一瞬にして再び凍りついた。……都築さん、そんな表情と声できたのね。いつものイメージが紳士的なのに彼女を見る瞳はゴミを見る方がまだ優しいんじゃないかというぐらい嫌悪と侮蔑に満ちている。


怒ったところとか見たことないし社長と長い間付き合えているんだから都築さんってかなり寛容だと思うのよね。興味のないものに対してはどうでもいいと思っているからこその寛容さだとは思うけど…いや、実際は知らないんだけどね。


ある意味で感情の起伏の少ないだろう都築さんをこんな風にさせるとか一体彼女は何をしたのか。怖いもの見たさで知りたい気もするけど私とて自分の身は可愛いのでその好奇心にそっと蓋をした。



「そんな…!湊さん、あなたも騙されているのよ!!あたしを信じて!!」


「おやおや、数秒前のことも覚えていられないような空っぽの頭をしているようですね?」



ことり、と首を傾げた拍子にさらりと都築さんの色素の薄い髪が揺れる。常ならば見惚れてしまいそうな姿だったけど纏う雰囲気と笑っていない瞳が恐ろしくて思わず目を逸らした私は多分間違ってない。



「ふふ、鷹斗、譲ってくれて感謝しますよ。貴方と違って私はこういう輩(やから)にはしっかりと躾けてあげないと気が済まないたちですから」


「さっさと済ませろ」


「つれないことを言いますねぇ。長いこと煩わせられたのですからその分をちゃんと返してから綺麗に終わらせますよ」


「……勝手にしろ」



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