その悪魔、制御不能につき
はい、と心底楽しそうに返事をした都築さんは恐ろしい程に艶冶だった。社長のような人外じみた強烈に惹きつけられるような妖艶さというよりも、人ならではのさりげない優艶さ…気づいてしまえば二度と戻れなくなるような怖さを感じた。
改めて都築さんと社長が血縁関係にあるのだなと思う。そしてこの二人はどこか他の人とは違っているなぁとも…限度が超えてるのよね。何よ、好意はあったとは言え拒否したら問答無用で選択肢を一つに絞ってその選択に突き落とすって。私じゃなかったら訴えてたわよ。
そんなことを考えていれば社長に抱き上げられてさっさと外に……え、出るの?都築さんまだ倉庫の中なんだけど。え。いいの?これ?あまりにも自然すぎてスルーしたけどあそこ彼女の雇った荒事得意そうな人たち残ってるんだけど?
ヒステリックな悲鳴を後ろに聞きながら外にあった車に乗り込む。社長の乗る車は見慣れたもので、多分ここまでこれで来たのだろう。寂れたここに高級車は違和感がありすぎる。
「ねぇ、都築さんはいいの?」
「あぁ、今回はかなり苛ついてたからな。ここで発散させてく」
「発散て…」
さすが高級車、車であっても広々とした空間で社長の足の間に座らされても窮屈じゃない。だからと言って座りたいわけじゃないけど今は置いておく。この体勢は今更というものだわ。
それよりも今は都築さんである。あの人も社長と同じで良いところの家の出だしいざという時のために護身術とか習ってそうだとは思うが、どちらかと言えばそういうことになる前に色々策を講じて未然に防ぎそうというか…情報戦には勝てても肉体的なことって大丈夫なのだろうか。
確かに都築さんには社長の件で少しぐらい痛い目を見ればいいという気持ちもあるしどうなろうと私には関係ないのだがさすがに心配になる。だって見た目からして荒事に慣れてなさそうなんだもの。
そんな私の不安をよそに社長は。
「あいつ物腰穏やかだが俺より乱暴なとこあるぞ」
「え、」
そう宣(のたま)った。思わず振り向いて社長の顔を見てしまう。嘘でしょ…あの都築さんが?社長より乱暴?信じられない…