その悪魔、制御不能につき



呆れたようにため息をつき、俺に背を向けて座っていたのを向かい合うように座り直す。輝夜の方が目線が高くなり、真っ直ぐな視線が俺を映した。


それと同時にふっ、とどこか尊大で妖艶な笑みを浮かべて俺に手を伸ばし髪をすく。白い指先がいたずらに髪で遊ぶその行為もどこか色めいた雰囲気を持つ。



「何?あんたにしては回りくどい誘い方ね?」


「湊に当てられたのかもな」


「そんな性格してないでしょう…」



何度も髪をすかれ、頭を撫でられる心地よさに目を細めながらもこちらも体に触れる手は止めない。対抗するように輝夜の手が自分の体に触れる。


そうこうしていれば本格的に輝夜のことが欲しくなってそのまま縦抱きにして寝室へと向かう。初めの頃は文句を言っていた輝夜も俺の唐突さに慣れたのか微かに笑って首に腕を回してきた。


輝夜は明日の仕事も休みだから多少はしゃいでもいいだろう、と頭の中で打算的なことを考える。ついでに哉瑪の方にも邪魔するなと伝えておく必要があるが、察しのいい子だからいつも規則正しく起きる朝にいなければ悟ると思う。


腕の中に抱えた存在をベッドに下ろしてそのまま覆い被さるように口付ける。唇、頰、額、顎、目元。どこに触れても気持ちがいい。



「輝夜、」


「っ、ほんと、制御不能な旦那様を持つと大変なこと、自覚してほしいわ…、」


「そうか?」



呼吸を乱してそうこぼす妻を愉快な気持ちで見つめながら肌を強く吸う。



「俺からすれば、思い通りにならない妻を持つ苦労を知ってほしいと思ってるがな」



全然わかってなさそうでこれからも理解しなさそうな輝夜を見つめ、そんな彼女に振り回される日々を楽しみにしている自分がいることを自覚する。きっとこの感情は輝夜と出会わなければ知らなかったものだ。


決して自分に屈しない、自己を映す凛とした瞳に自然と口角が上がる。難しいことを考えるのは後に回し、今はその存在を味わうために再び愛おしい妻に口づけた。




fin



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